現在、金融市場には、地政学的な出来事から債券市場のボラティリティ、企業決算シーズンに至るまで、多くの動く要素が影響を及ぼしており、このことがトレーダーに何重もの不確実性をもたらしている。
特に債券市場は、10年物利回りが16年ぶりの高水準となる5%超まで急上昇した後、後退するなど、複雑なシグナルを発している。利回りが上昇するときは、金利が長期化するとの見方が強まっていることを反映している。しかし、利回りが低下して債券価格が上昇する場合は、投資家が債券資産を選好する悲観的な見通しの結果である可能性がある。これらのシナリオは、いずれも株式の成長に影響を与える。つまり、ここ数週間の債券利回りの乱高下と、その背景にある理由は、投資家が方向転換を解釈しようとしているため、株式市場にとって厳しい環境を作り出している。
S&P500種構成企業の8割近くがこれまでのところ予想を上回る業績を上げているにもかかわらず、である。それにもかかわらず、株式は持続的な上昇に苦戦している。これは、第3四半期の企業セクターの業績がかなり好調だったにもかかわらず、債券市場の動きによる金利懸念がセンチメントを抑えていることを示唆している。大手ハイテク企業では、マイクロソフトが堅調な第3四半期決算を発表したが、アルファベットのクラウド事業の見通しには失望が広がった。一方、ボーイング、IBM、メタなどが次の報告を控えている。
金は、10月初旬の安値1815ドル付近から9%上昇し、統合モードに入っている。ここ数週間の貴金属の上昇の大部分は、中東での出来事による安全資産買いの再開によって促進された。水曜日のアジア取引時間中、金は1973ドルで、イスラエルとハマスの紛争で緊張がさらに高まった場合、2Kドルのレベルに戻る可能性をまだ見据えている。金の上昇は、債券利回りが16年ぶりの高水準まで上昇する中でも続いている。債券利回りが16年ぶりの高水準に達しているにもかかわらず、金は上昇している。もし利回りが低下すれば、金も上昇する可能性がある。
外国為替市場では、利回りの観点から米ドルが引き続き選好されており、DXY(ドル指数)は106台を維持している。トレーダーは今週末に発表される米国のGDP先行指数とコアPCE価格指数を待つことになる。どちらも上昇を示すと予想されており、もしそれが実現すれば、ドル円と利回りはさらに上昇する可能性がある。米国の成長率やインフレ率のデータが強ければ、FOMCの金利先高観測の針が変わる可能性がある。一方、ユーロは、ユーロ圏全体のPMIデータが期待外れだったため、ユーロ圏の成長懸念が高まり、下落した。
オーストラリアでは水曜日、9月消費者物価指数(CPI)が発表された。第3四半期CPIが1.2%上昇(6月期の0.8%上昇を上回る)したことで、11月の政策決定会合を控えたRBAの注目を集めた。インフレ率が上昇した結果、AUDUSDレートは0.6350から0.6390まで急上昇した。
今後の見通しとしては、債券利回り、決算シーズン、中東情勢が、今週いっぱいの市場センチメントを左右しそうだ。
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