先週の米国選挙は、選挙結果そのものと同様に、金融市場に決定的な動きをもたらした。大統領選の結果(トランプ氏勝利)と議会の主導権(共和党)が明確になったことは市場に好感され、先週1週間の米国株の堅調な動き(S&P500は選挙当日の投票終了後3.5%上昇)が証明している。
為替市場でも同様の動きが見られ、特に米ドルは先週から勢いを増している。その理由は、トランプ大統領の政策が成長(減税、規制緩和など)と潜在的なインフレ(高関税など)の両面からドルにとって好材料だからだ。成長促進策はすべて良いことであり、選挙後の米国株式市場はそれに反応している。しかし、それは2025年のFRBの利下げペースを減速させるかもしれないというリスクを伴う。これは利回りの観点から米ドルに有利であり、選挙日以降ドルインデックスDXYがさらに2.5%上昇した理由を説明するのに役立つだろう。
米国債利回りも同様に上昇に反応し、先週のFOMCによる25bpの利下げは債券市場に大きな影響を与えなかった。繰り返しになるが、短・長期債利回りが上昇に転じたのは、米中央銀行が来年、従来予想されていたほど急速な利下げに踏み切れない可能性を示唆している。米10年物国債利回りは4.4%を超えており、今のところ株式市場を動揺させていないが、上昇トレンドが4.6%超まで続けば、債券市場が示唆する金利見通しに対して株式投資家が動揺する可能性がある。
金相場は、米ドルと債券利回りの上昇によって急落しており、貴金属は現在、相対的に2600ドル台で低迷している(水曜日のアジア午前の取引時点)。ドル高によって(外国人投資家にとって)金は事実上割高になり、一方、利回りの上昇によって債券は魅力的な代替安全資産となった。現在のドル高の波は金の勢いを鈍らせているが、外貨準備の面でドルからの離脱を望んでいる中央銀行(中国、ロシアなど)からの需要は、需要を下支えするはずである。そのため、金は2800ドル、そしてその先へと上昇する道筋が残されているが、これは米ドルの反落次第であろう。
原油もまた、米ドル高(原油の購入価格を上昇させる)の重圧と闘っている資産である。中国の景気刺激策やOPECによる需要見通しの下方修正に対する市場の反応が鈍いことも、原油の苦境に拍車をかけている。トランプ次期大統領が米国の石油増産を計画していることは言うまでもない。中東からの供給懸念がない以上、原油価格には短期的に下押し圧力が続く可能性がある。
今週、投資家にとって重要なポイントとなるのは米国のインフレ率だ。米コアCPIが前回と同様に再び上昇に転じた場合、FRBが12月に本当に再利下げを行うかどうか、疑念がさらに深まる可能性がある。選挙の話題が薄れ始めると、FRBの金利政策が投資家にとって再び注目されるようになるかもしれない。米消費者物価指数(CPI)データは、米国の基準金利が年内にどの水準に達するかを決定するパズルの重要なピースになるかもしれない。
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