マーケットニュース

地政学的リスクがフレームに戻る

2024年10月2日

10月の取引は地政学的リスクが再び浮上し、市場のモメンタムは乱れた。9月は、FRBが2020年以来の利下げに踏み切ったこともあり、世界の株式相場は不利な月という過去の傾向を覆した。しかし、イランがイスラエルにミサイルを発射したというニュースにより、投資家は10月早々から安全な避難先を探すようになった。

金と米ドルは連動して上昇し、各資産は安全資産として買われた。ドルインデックス(DXY)は101レベルを上回り、FRBの利下げ後に失ったドルを取り戻した。今週、パウエルFRB議長が年内にもう一段の大幅利下げが実施されるとの観測に冷や水を浴びせたことで、米ドルも支援された。パウエル議長は月曜日の講演で、FRBは利下げを急ぐ必要はないと述べた。一方、2024年末までに合計50bpの利下げを実施するというFRBの予想と、75bp近い追加利下げを期待する市場全体の予想との間には、依然として隔たりがある。

中東でのロケット弾発射のニュースを受けて、金は再び2650ドルを超える動きを見せた。2024年の金の特徴の一つは、リスクオンとリスクオフの両方のシナリオで上昇する能力である。そして、地政学的な敵対関係が続く中、金は投資家のポートフォリオの中でお気に入りの資産であり続けるだろう。水曜日のアジア取引時間中、金は2662ドルで取引され、2680ドルのレジスタンスを下回り、2640ドルと2616ドルのサポートを上回った。金は持続的なリスク回避の恩恵を受けるが、米ドル高は貴金属にとって逆風となる可能性がある。

ここ数カ月、原油価格にはリスク・プレミアムがなかったが、イランの今回の行動に反応して、エネルギー市場に適度なリスク・プレミアムが戻りつつある。WTI原油は1バレルあたり70ドルを回復したが、イランがより広範な紛争に巻き込まれた場合、供給が途絶える可能性があることから、今のところこの動きは限定的なものにとどまっている。水曜日、米国産原油は70.60ドルで推移しており、前方の73ドルがレジスタンスとなっている。このレジスタンスを破れば、原油供給の先行きに対する市場の警戒感が高まった場合、1バレルあたり75ドルの水準に戻る可能性がある。

中東情勢が緊迫化すると、金融市場はリスク回避の動きを見せる。今回も同じようなパターンになるかどうかは、イスラエルの対応次第である。報復措置が(イスラエル側、イスラエル側双方から)強まるようであれば、リスク資産にとって良い兆候とはならないだろう。

今現在、地政学的リスクと「イベント・リスク」が経済カレンダーの「イベント・リスク」となっている。今週は米国の雇用統計が発表され、年末までにFRBが50bpまたは75bpの利下げを行うかどうかのシグナルとなる可能性がある。金曜日の非農業部門雇用者数(NFP)は、9月の雇用者数が14万4,000人増加すると予想されている。この数字が大幅に上振れすれば、FRBが今年中に50bpの追加利下げを行うというベースケースを支持する可能性が高い。

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