先週は雇用統計に注目が集まったが、今週はインフレ率に注目が集まっている。米消費者物価指数(CPI)は2.6%(年率)に低下すると予想されており、FRBが公表している目標値2%をまだ上回ってはいるものの、FRBが懸念する限りでは正しい方向に向かっている。とはいえ、CPIが2.5%または2.6%の水準になれば、来週のFRB理事会でパウエル議長らが4分の1ポイントの利下げを実施するのに十分な水準となる。もっと大きな50bpの引き下げもまったくありえない話ではないが、FRBは投資家をパニックに陥れないよう、緩和サイクルを開始するためにもっと大きな引き下げを実施することで「斧を振るう」ことを避けたいのではないだろうか。
市場のコンセンサスが来週25ベー スの米利下げを予想する方向で固まる中、米ドルは9月初旬の安値から小幅な反発を続けている。米ドルはユーロやオージー・ドルなどに対しては好調だが、日銀とFOMCで予想される政策の方向性が正反対であるため、日本円に対しては苦戦している。その結果、米ドル円レートは、日銀が年内に再利上げを行う可能性があるという期待から、過去1ヶ月で3%近く下落している。
国債利回りの低下が貴金属の上昇を後押しし、金は心理的な水準である2500ドルを再び上回った。水曜日のアジア取引時間中、金は2516ドルで取引され、当面のレジスタンスである2524ドルを下回った。サポートは2470-2480ドルにあり、買い手は価格下落時にこの商品を求めており、この地域は今月これまで大きな下落を防いできた。金は慎重に上値を切り上げているが、上値を切り上げる可能性があるかどうかは、今週発表される米国の弱いインフレ率に左右されるかもしれない。
その他では、中国の弱い輸入と消費者物価指数のデータを受けて、需要懸念から原油は現在人気薄となっている。8月の中国の輸出は好調であった(予想の6.5%増に対し8.7%増)一方で、輸入については同じことが言えなかった(予想の2%増を下回り0.5%増にとどまった)。軟調な消費者物価指数(CPI)のデータを受けて、輸入の状況は中国の内需が依然として低迷していることを明らかにしている。OPEC+は最近の原油価格の低迷に対応し、増産を12月まで延期したが、これはエネルギー市場の信頼回復には役立っていない。米国産原油の注目水準としては、64.70ドルがサポートとなり、68.20ドルと70.30ドルがレジスタンスとなる。
また、木曜日にはECB(欧州中央銀行)の利上げ決定があり、25bpの利下げが行われる可能性が高い。例年通り、市場はマクロ・データの発表から金利動向と利回り格差、そして世界2大経済大国の成長見通しを見極めようとするだろう。
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