パウエル証言を控えた市場のポジショニング

パウエルFRB議長が議会証言でよりタカ派的な姿勢を示した場合に備え、投資家は安全策をとっている。パウエルFRB議長が議会で証言する際に、よりタカ派的なスタンスをとることを想定して、投資家は安全策をとっている。パウエル議長の発言が、FRBがあと2回の利上げを計画していることをトレーダーに想起させるものであれば、市場のムードは冷めかねない。先週のFRB議長による最初の決定と記者会見の後にも、同様の反応が見られた。しかし、今週パウエル議長がタカ派的な発言をしようがハト派的な発言をしようが、政策決定をデータに頼るというFRBのマントラは変わらないだろう。

米ドル相場は強い住宅統計のおかげで上昇した。その結果、DXY指数は上昇し、ユーロとポンドは米ドルに対して下落した。しかし、パウエル議長の証言の前に下降は限定的だった。他のニュースでは、RBA議事録で最近の利上げが中央銀行理事会にとって危うい判断であったことが明らかになり、豪ドルは下落している。しかし、基準金利を4％超に引き上げる決定は厳しいものであったとはいえ、特に労働市場が改善を続けている現状では、RBAが最高金利に到達するのが近いことを示唆する証拠は今のところない。

金融市場はPBOCによる景気刺激策を期待していたが、これまでの措置はせいぜい精彩を欠く程度で、世界第2位の経済大国に必要な景気浮揚をもたらすとは考えにくい。MLF（中等貸出枠）とLPR（貸出プライムレート）を緩和する動きは期待に届かず、金融市場はPBOCにもっと多くのことを求めている。その結果、リスク資産からの反応は鈍かった。

貴金属に対する新たな需要の牽引役が不在のため、金は再び下落に転じている。トレーダーは現在の環境下でより高い利回りを他に求めており、安全資産としての需要の欠如が金価格の下落を引き起こしている。スポット金は現在、1942米ドル付近の以前のサポート・レベルを下回っており、このレベルは現在レジスタンス・エリアとなっている。金価格が短期的に回復する可能性は、今後予定されているFRB議長の証言でハト派的なスタンスが示されるかどうかにかかっているかもしれない。

一方、中国人民銀行（中央銀行）の最近の措置が需要期待を高めることに失敗したため、原油価格は引き続き圧力を受けている。しかし、原油価格はアジアの取引時間中に若干回復し、WTIスポット価格は71.40米ドルに達した。2023年後半の需要見通しに改善が見られない限り、短期的な大幅上昇は難しいかもしれない。そのため、トレーダーはPBOCが中国の成長加速を刺激するための追加措置を講じるかどうかを注視している。