2024年の米国のマクロ・データの堅調な推移は、利下げを待つ必要があることを市場に告げてきたが、ジェローム・パウエルはこの点を実質的に強化した。今週、パウエルFRB議長は講演で、インフレ率の目標2%への回復には予想以上に時間がかかるというメッセージを伝えた。これは決して画期的なニュースではなかったが、パウエル議長の発言を受けて米国債利回りは上昇した。
米ドル相場は為替市場の主役として好調を維持し、対米ドル相場はさらに上昇した。ドルインデックス(DXY)は、他の多くの主要通貨に対するドルの現在の利回りの優位性が拡大するとの期待から、106レベル以上を維持している。米国のマクロ・データが冷え込み始め、投資家が利下げを視野に入れるまでは、米ドルには上値の重さが残る。しかし当面は、米国の経済指標が予想を大幅に上回っているため、他の通貨は米ドルに翻弄されることになる。
日本政府関係者が懸念しているように、日本円はますます不快な領域に沈み続けている。介入の脅威が漂う中、トレーダーと日本当局の間には比喩的な睨み合いが続いている。問題は、米国債利回りの上昇から円を守るために介入が行われる前に、円安がどこまで許容されるかだ。
金はここ数セッション、2400ドルの水準を下回る水準で「底堅く」推移している。セーフヘイブンの観点から金を買う流れは依然として堅固だが、米ドルと国債利回りの上昇は、少なくとも貴金属に緩やかなブレーキをかけている。米ドル高により、(米国以外の投資家にとって)金の購入価格は高くなったが、グリーンバックがこの水準で取引されていることによる逆風にもかかわらず、金価格を支え続けるには十分な下支え需要があるようだ。
イランとイスラエルの間に大きな進展がなかったため、原油の勢いはわずかに鈍化した。エネルギー市場はまた、今週の中国経済指標の伸び悩みも足かせとなった。中国のGDPは5.3%(予想4.8%)と上振れしたものの、鉱工業生産と小売売上高はいずれも予想を下回り、今後数カ月の需要意欲に疑問符がつく結果となった。
今後、連邦準備制度理事会(FRB)メンバーの発言が予定されており、投資家は、利下げ時期やインフレ動向に関して、他のメンバーがFRB議長の考えを支持するかどうかを見極めたい。一方、米国では第1四半期の決算シーズンが続き、金利が長期化する可能性を背景に、年内の業績見通しが焦点となる。
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