一般的に、株式市場は債券利回りが低下することを好む。なぜなら、債券利回りが低下することは金融緩和を意味し、企業部門の成長を促すからだ。しかし、現在は(少なくとも米国と欧州では)逆のケースである。債券利回りが上昇に転じるということは、今後の金利環境が引き締まるということであり、成長見通しに関して株式市場に不愉快な問題を投げかけることになる。債券利回りが今後数ヶ月間上昇したままであれば、株式は(現在記録的な高バリュエーションにあるハイテク・セクターの多くも含めて)強気相場を継続できるのだろうか?これは難しい質問かもしれない。
米10年物国債利回りは堅調な米サービス業景況感を受けて上昇し、現在4.7%台の扉を叩いている。米経済指標が引き続き上振れするようであれば、インフレ圧力の高まりに直面するFOMCが2025年に利下げを実施する能力に対する疑念がさらに高まるだろう。また、債券利回りが北上し続ければ、成長環境がより厳しくなることから、世界の株式市場の不安水準が高まる可能性がある。
金曜日に予定されている非農業部門雇用者数(NFP)を筆頭に、今週は米国の経済指標が目白押しだ。米国の雇用市場は依然としてインフレ圧力の源泉であり、そのため今週の労働市場データは債券利回りと米ドルの方向性の鍵を握る可能性がある。NFP統計では、12月の雇用創出が16万5,000人と予想されているが、これはかなり緩やかな水準であるため、特に季節要因が作用している場合には、上方サプライズの可能性がある。雇用者数が15万人台ではなく20万人台に近づけば、国債利回りとドル相場が短期的に上昇する可能性がある。逆に、15万ドルを下回るような軟調な結果は、米ドルの勢いを止める可能性がある。
コモディティでは、金は米ドル高にもかかわらず堅調に推移している。中国が金準備を買い戻したというニュースは、金が米ドル高の影響を免れている理由の一つである。スポット価格は、水曜日の早いアジア取引時間には2648ドルで取引されており、2652ドルと2667ドルのレジスタンスレベルを下回っている。サポート・レベルは2618ドルと2599ドルである。金の観点からは、今週の米マクロデータが軟調であれば、投資家が2025年のFRBによる利下げ実現に楽観的になれば、利上げの扉が開かれる可能性がある。そのため、今週の金の運勢は、米国の雇用統計と密接に結びついている。
その他では、需要の先行きが依然不透明な中、原油は年初からの好調なスタートを続けている。米国の厳しい冬や中国の景気刺激策への期待などが追い風となり、米国産原油は今月までに3.5%(約)上昇した。原油にとって不利な要因は、米ドル高と、インフレ率が上昇するにつれて中央銀行の利下げ観測が後退することである。このように、原油の見通しは、微妙にバランスの取れた力が働いていることから、中立である。米国産原油については、72.40ドルのサポートと75.40ドルのレジスタンスに注意する必要がある。
米NFP統計のほかにも、ADP民間雇用統計や米12月FOMC議事録の発表が予定されている。その他では、木曜日に中国のCPIとPPIが発表され、世界第2位の経済大国である中国のデフレリスクが引き続き注目される。結局のところ、今週のリスク・センチメントは、米国の雇用統計がFRBの金利動向をどの程度左右するかによって決まるだろう。
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