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今後の米インフレ指標が基調を決める

2023年10月12日

今週は中東の紛争を受け、原油や金などのコモディティが動いた。金はここ数週間、国債利回りの上昇に直面して下落していたが、今週は貴金属に安全資産としての買いが流入し、価格は1850米ドルの水準を再び上回った。今週、国庫利回りが緩和したことで、金は最近の上昇を固めることができた。

債券利回りは依然として高い水準にあるものの、16年ぶりのピークに達した先週からは低下している。その一因は、投資家が安全資産として債券を再び購入したこと(これが利回りを押し下げた)であり、またその一因は、ここ数日のFRB高官のハト派的な発言により、FOMCによる11月の利上げ観測が後退したことである。10年債利回りは先週の高値4.88%から4.64%に低下した。  

しかし、国債利回りが低下したとはいえ、今週は米国の重要なインフレ・データが発表されるため、株式、債券、為替、コモディティ市場にはボラティリティが生じる可能性がある。PPI(米国時間水曜日)とCPI(米国時間木曜日)の発表は、FOMCが今後年末にかけてどのような利上げを行うかについて、市場の予想を再び揺るがす可能性がある。インフレ水準が一段と緩やかになるとの期待もあるが、確実とは言い難く、今週のインフレ指標で上方サプライズがあれば、利回りは再び上昇に転じる可能性がある。  

先週は金利と需要懸念から原油価格が急落し、後手に回っていたが、今週は中東紛争がWTIとブレント相場に再び上昇の勢いをもたらしている。イスラエルとパレスチナの紛争がどの程度拡大するか、あるいは拡大しないかについては、まだ未知の部分がある。イスラエルとパレスチナの紛争がさらに拡大し、他国が関与するようなことになれば、供給が途絶え、原油価格が再び1バレルあたり90米ドルを超える可能性もある。供給が途絶えるような事態が起こるかどうかはまだわからないが、中東情勢が再燃している今、原油市場のリスクは上昇に傾いているようだ。  

為替市場では、米ドルは債券利回りと連動して急落し、DXY(ドル指数)は先週の107ドル台から105ドル台で取引されている。FRB高官によるハト派的な発言がドル相場の勢いを削ぐ一方、中国の景気刺激策への期待が再び語られ、リスク資産を下支えしている。一方、今週は円相場がサポートされ、米ドル円レートは注視される150円台を維持している。もし今週、米国のインフレ率に上振れのサプライズがあれば、USDJPYは150円台に突入する可能性がある。  

また、今週は金曜日に中国のインフレ率が発表される。投資家たちは、中国経済の低迷が底を打ったという新たな兆候が見られるかどうかを注視するだろう。消費者物価指数が前回の0.1%を上回れば、デフレ圧力が和らぎ、消費意欲が回復する可能性がある。全体的には、米国と中国のインフレ・データと債券利回りの動向が、今週残りのリスク・センチメントの基調を決めることになりそうだ。  

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