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米雇用統計が金利見通しを決める

2024年7月3日

インフレに関するパウエルFRB議長の穏やかな慰めのコメントは、米ドルと国債利回りを抑制したが、週明けに発表される重要な雇用統計の結果次第では、両者ともさらなる上昇の可能性を残している。パウエル議長は、過去数カ月でインフレに進展があったと指摘したが、政策緩和が差し迫っているとの発言には至らなかった。その結果、株式市場は若干の勇気を取り戻し、為替と債券利回りは一息ついた。しかし基本的には、今週はマクロ指標の「ビッグダディ」、金曜日のNFP(非農業部門雇用者数)がすべてとなる。

消費者物価指数(CPI)と並んで、FRBによる利下げ観測の先送りに関して最も大きな影響を及ぼしているのは雇用統計である。NFP統計は過去7回中6回がコンセンサス予想を上回り、4月のNFP統計は2024年に入って唯一下振れした。製造業は厳しい状況だが、サービス業は十分な力強さがあり、雇用市場全体がインフレ圧力の源泉であり続けているため、FRBが最初の利下げに踏み切る際の障害となっている。

今週発表される6月の雇用統計は約19万6,000人増と予想されている。万が一、この数字が低い方(例えば16~17万人)に外れた場合、9月の利下げに対する市場の楽観的な見方が強まる可能性がある。しかし、労働市場のモメンタムが維持され、NFPが20万ドル超の結果を出した場合、市場が11月の利下げに傾き始めれば、米ドルと国債利回りは一段高となる可能性がある。言い換えれば、今週発表されるNFPは、FRBの利下げ観測を転換させる重要な支点となる可能性がある。

FXでは、ドルインデックス(DXY)が105.65レベル付近で推移している。円相場は1980年代の水準に戻りつつあり、ノスタルジーはさておき、輸入の観点から通貨安のデメリットを考えると、日本の金融当局者は神経をとがらせているに違いない。前回の介入効果が短期間で終わった後、日本は円高を妨げる債券利回りのスプレッドと戦うことに慎重になっているのかもしれない。とはいえ、USDJPYレートが160より上で取引されている間は、介入監視は続く。

新たなカタリストがない中、金は使い古されたレンジで取引を続けている。今週、貴金属は2320-2336ドルのレンジに居を構えており、米ドルと国債利回りが高水準にある中、上方へのブレイクは難しい。サポートは2309ドル、さらにその先には2272ドルが控えている。金が次の重要なレベルである2369ドルを目指すには、2350ドルの抵抗を突破する必要がある。今週発表されるNFPでFRBの利下げ観測が強まれば、状況は一変するかもしれない。

原油価格は、地政学的要因と季節的要因の組み合わせに支えられており、リスクは上向きに傾いている。中東情勢の緊迫化は収まっておらず、ハリケーンシーズンと北半球の夏の需要見通しも価格を支えている。WTI原油は一時84ドル台に乗せた後、84.20ドル付近のレジスタンスに阻まれ、下げ渋った。サポートは81.76ドルと80.42ドルにある。

今後、市場はADP民間雇用者数(米国では水曜日)を注視し、7月4日の祝日のため取引が中断される金曜日の重要なNFP統計に備える。全体として、今週の雇用統計は、FRBが9月と11月のどちらの利下げに踏み切るかを占うものとなり、リスク資産はそれに応じて反応するだろう。

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